2011年6月14日火曜日

フランスではバカロレアの季節

フランスの新学期は9月に始まります。6月最終週から8月31日までという、二ヶ月に渡る「大バカンス(les grandes vacances)」を挟むため、前学期は6月に終了します。

高校三年生の6月は、「バカロレア(le baccalauréat)」というイベントによって締めくくられます。非常に稀な例を除き、バカロレアは誰にも免れません。

これは、高校卒業資格の全国試験です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/バカロレア資格

フランスでは、省略してBAC(バック)と呼ばれます。

日本と違い、西洋諸国では、大学の入学試験の前に高校卒業の資格を必要とします。これは、18歳までに学んだ知識の総合審査で、その後専門学校に行っても、あるいはすぐに働いても、生涯必要となる資格です。

資格とは言え、さほど難しい訳ではありません。ウィキペディアには「取得率62%」とありますが、これは実際80%を超えているとの国民教育庁の報告があります。日本の大学入試に比べて、遥かに気楽なイベントなのです。

バカロレアの試験はコースによって異なります。今年は全コースの試験が、13日に一斉に始まりました。各市町村が認定した数カ所のリセ(lycée 高校)に、その地区の高校生たちが皆集まり、認定リセの教師が試験監督を請け負って、一日中、必要教科の試験と作文の審査があります。バカロレア試験は数日続き、生徒たちは、6月20日に始まるバカンスを待って、黙々と紙を埋めていきます。

ちなみに、作文試験について述べますと、これは作文と言うよりは小論文で、dissertation(ディセルタシオン)と呼ばれます。日本の「レポート」、「小論文」とは全く規模が異なります。生徒一人一人がアトランダムに主題を与えられ、それについて、規則に従った論理展開を駆使して、完璧なフランス語で論じることを求められます。6時間、彼らは教室に閉じこめられ、論文の構想を練り、プランを立て、テーマを列挙し、論述を組み立て、そして書き続けます。多くが白紙の紙20枚以上にびっしりと書かれた答案は、「個人作品の複写」という意味での「コピー」という表現で呼ばれます。20点満点でつけられるその点数は、(よい点だった場合)履歴書に加えることができます。大人になってからも、一生有効な点数です。ディセルタシオンはバカロレアの花形競技と言えましょう。

バカロレアが終了し、集められた答案は国民教育省の外郭機関を通して、匿名で採点担当教官に配布され、教官たちはその後3週間後に結果を報告する運びとなっています。

バカロレアの結果は7月14日に発表されます。

バカロレアに「強い」高校ランキングも、毎年教育省から出版されます。ここで「強い」というのは、ほぼ全員を合格させるだけでなく、高得点で突破した生徒を多く抱え、また、その生徒たちのほとんどが、その後難関の高等教育機関へ進学する学校のことです。こうした高校は、やはり、首都パリの最も高級な地区に集まっています。

以下は、2月に行われた高校生たちの大学模擬授業の様子です。

http://www.youtube.com/watch?v=L40Gc0ZrdKw

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