↓のニュースに詳細を加えますと。
2011年度のバカロレアは22日まで続くようですが、共通試験の内容は以下の通りです。
1.6月17日金曜日午後、「数学・コンピューター」科目の試験。
2.20日月曜日、「フランス語」および「フランス文学」の試験。(この二つは違う科目です。)この日から、「筆記試験」と呼ばれる最大イベントが始まります。前回に話した「ディセルタシオン」のことです。フランス人の子供たちの生涯最初の18年は、この試験の準備のために使われると言っても過言ではないほど、彼らの人格と将来を決定する試験です。
3.22日水曜日は「理科」の試験。
次は、「フランス学生ウェブ新聞」に載った、バカロレアに関するビデオです。
「Spécial Bac - バカロレア前日をどう過ごすか」
http://www.letudiant.fr/bac/videos-reussir-ses-revisions-du-bac-17494.html
インタビューに答える一人目の女の子は「レティシア、文学専攻(つまり特待生)」、二人目は「オリヴィエ、理系専攻(平均の高校生)」、三人目は社会科の先生、四人目は「高校専属医師・精神科医・心理学者」(フランスの高校の保健室には、医者と児童心理学者を兼ねる精神科医が必ずいます)
最後の医者は「バカロレアに落ちたって、それで人生が終わるわけではないと考えなければなりません。子供だけではなく、両親も同じことです。バカロレア前日は夜更かしをせず、その代わりに、家でテレビを見たり、レストランに行ったりすることもアリでしょう」と言っています。そういう言葉の裏に、バカロレアが、フランスの高校生とその親御さんにとって、どれほどストレスフルなイベントかを伺うことができるでしょう。
しかし、フランスのバカロレアは、「学力」の点では大きく他の国の大学入学試験に劣っています。それでもこれほどにストレスがあるのは、あくまでも、「学力」や「偏差値」に収斂されない、「ディセルタシオン(小論文)」試験の重さゆえなのです。
文学伝統に依拠した書き言葉を手にすることが、フランスでは社会的認知にいたる最大の難関なのだと言えます。
フランスがなぜ経済的に後進的でありながら、世界的に最も強大な文化大国でとどまってきたのか、バカロレアの試験内容を見ても明らかなことではないでしょうか。
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