2011年7月13日水曜日

レポートを書くための十ヶ条

さて、与えられた主題について、形式・内容ともに説得力のある、まとまった長い文章を作るには、どうすればいいか、以下に十条で申し上げます。

一、      内容→形式の順に作ります。人によっては、形さえ整えば内容はついてくるという意見もありますが(日本の初等教育はその考えによって実行されていますが)、それでは全員が画一的な内容になるのは目に見えています。
二、      内容の練り上げにも段階があります。まず、浮かんだ考え(印象と言ってもいいです)をすべて書き出しましょう。それから、その考えに序列をつけましょう。具体的で瑣末な考えから、一般的で抽象的な考えへ、という風に。
三、      次に、先の考えとは別に、題を聞いて心に浮かぶ疑問や疑いを書き出しましょう。
四、      そして、そうした印象と疑問を概観し、自分が最も言いたいことは何か、を探り出しましょう。これは、皆さん自身の経験や知識、感覚や信念、などの中に曖昧な形で現れては消える「気持ち」を「立場」に言い換える仕事です。この立場の表明が、レポートの骨子となります。ここからが本当の始まりです。
五、      自分の立場を補強、あるいは反証する例を、十以上探しましょう。日常生活、映画やテレビ、文学作品、新聞記事、雑誌広告などから、引用を見つけましょう。
六、      そうした例を分析しましょう。反証となる例に関しては、議論を行いましょう。
七、      ここまでできたら、形式の練り上げに入ります。まず、全体を三章に分けましょう。先ほど抽出した考えや疑問点を順序よく配置し、全体が一貫して発展していく思考の流れを表現するような構成を生み出しましょう。自分自身の考えと疑問に沿って議論を進めていれば、一貫性は自ずと生まれます。そこに三つの「段階」あるいは「フェーズ」ないしは「側面」を分ければいいのです。各章にはできるだけ、サブタイトルをつけましょう。
八、      一番いいたいことを中心に結論を先に書き、次にその結論にいたるための道筋として、第一章、第二章、第三章と書きます。最後に序文を書きます。全体を原稿用紙十枚で書くならば、結論と序文がそれぞれ原稿用紙一枚、各章は二枚半から三枚と見積もります。もし、全体を原稿用紙五枚で書くつもりならば、上記枚数をすべて半分にします。つまり、序文と結論それぞれ半枚、各章一枚から一枚半。
九、      細かい文体や形をチェックします。新たに段落を始めるときは、必ず最初の一マス空けます。章を変える時は一行空けます。雑誌や映画や本のタイトルは『』で引用し、誰かの言葉を引用するときは「」で引用します。誰かの名前を引くときは、できるだけ生没年を()に入れて書き添えます。「です・ます」と「である」の文体を混同しないようにしましょう。「〜と思いました」、「〜はよかったです」などの表現は使わず、「〜ではないだろうか」、「〜と言えるかもしれない」といった表現を使いましょう。自分の意見と他人の意見ははっきりと分けて書きましょう。憶測と事実ははっきりと分けて認識しましょう。そしてもちろん、漢字は間違えないでください。
十、      タイトルをつけましょう。名前を書きましょう。


追記。大事なのは、他の誰のものでもない、自分自身の考えと立場にそった議論を展開することです。自分の立場を明らかにし、他人を説得するために、すべてのレポートはあるのです。

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